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栗橋宿跡 (久喜市)

読み方
くりはししゅくあと
場所
久喜市栗橋東3丁目3549-1他
調査期間
平成25年4月1日~平成26年3月31日
主な時代
江戸時代

【平成26年3月更新しました】

 栗橋宿跡は、久喜市栗橋東3丁目地内の利根川沿いにあります。
 第1地点は江戸時代に商家だったところで、水塚(みづか)の上に2棟の蔵が建っていました。このうち1棟は幕末頃の建築で、水塚も同時期に築造されたと考えられています。水塚の下からは大型の釜が見つかりました。このような釜は味噌作りや酒造りに関係するものではないかと考えられています。ほかに、土壙(どこう)と呼ばれる穴からは、漆塗りの椀や櫛、下駄などが出土しました。
 現在は第2地点の調査中で、上下二面ある文化層の第一面が終了しました。土壙からは、江戸時代末の陶磁器の破片が多数出土しています。おそらくは、使えなくなった生活道具を捨てた跡と考えられます。その他に、土地の境を示す溝跡や建物の基礎とみられる杭列も発見されました。

栗第1  SK16ごみ穴 下駄など  第1地点の土壙から出土した下駄などの木製品

栗第1 大型の釜真っ赤に焼けている

第1地点の釜跡。手前から燃料を入れて、奥の丸い部分で火を焚きます。壁は熱で真っ赤に焼けています。

栗第1作業風景 第1地点 調査風景

1 第一面全景P1000274 第2地点 調査区を横断する杭列や土壙

2 第3号土壙P1000120  第2地点 土壙から出土した多量の陶磁器類

5 第2号溝跡P1000244 第2地点 溝壁の崩落を防ぐために打ち込まれた杭列

6 第1号杭列P1000249 第2地点 地境に打ち込まれた杭列

7 調査状況P1000254 第2地点 調査風景

【以下、平成25年7月更新】 ————————————————————————————————————

 発掘調査は、上下二面ある文化層のうち、第一面は終了しました。現在、第二面の調査中で、第一面と同様に生活道具を捨てたと考えられる土壙(どこう)が多数発見されています。中から、江戸時代末の陶磁器の破片や、下駄・漆塗りの椀といった木製品が確認されています。
また、調査区の南側には、板材で作られた囲いが見つかりました。横に長い板を杭と竪板で固定してあり、池の跡と考えられます。

 土壙から出土した下駄

板材で囲った池跡

 調査風景

 

【以下、平成25年9月更新】 ————————————————————————————————————

栗橋宿跡第2地点の発掘調査は、7月で終了しました。8月からは第1地点に隣接する第3地点の調査を始めています。

木材が大量に廃棄された土壙

 土に埋もれた桶

木材とともに廃棄された柄杓(ひしゃく)

 

【以下、平成25年11月更新】 ————————————————————————————————————

 第2地点の南側をB区として9月から新たに調査をしています。こちらも同様に第一面を調査中で、土壙や杭列が発見されています。
 また、栗橋宿跡第3地点は、現在上下二面ある文化層のうち第一面を調査中です。その結果、廃棄目的で使用された土壙をはじめ、杭列や埋設された木桶などが見つかりました。土壙の中からは陶磁器や瓦、古銭などが出土しています。

多量の炭が詰まった土壙です。炭の中から木製品・金属製品が多数出土しました。(第2地点B区)

江戸時代の鉄鏃(矢じり)です。炭に保護されていたのか、ほとんど銹びていません。(第2地点B区)

2基並んで埋設された木桶が見つかりました。中には瓦や木材が入っていました。(第3地点)

並んで発見された杭と杭の間には板や丸太が挟まれています。おそらく地境を示す柵ではないかと考えられます。(第3地点)

 

【以下、平成26年1月更新】 ————————————————————————————————————

第2地点B区では、土壙や杭列の調査を進めています。炭が詰まった土壙からは木製品や金属製品、陶磁器類が多く出土しました。
第3地点は、二面ある文化層のうち上面の調査が終了しました。成果としては、土壙以外に杭列や溝跡、建物基礎などの確認ができたことが挙げられます。


炭が詰まった土壙からたくさんの遺物が出土しました(第2地点B区)

焼けて捨てられた畳が出土しました。(第2地点B区)

ものさしも出土しました。(第2地点B区)

上面全景(第3地点)


杭列の横から木樋(排水溝)と枡が見つかりました。(第3地点)

 

【以下、平成26年3月更新】 ————————————————————————————————————

第2地点B区では、木樋(もくひ)や杭列の調査を進めています。古い木樋は砂で厚く覆われていますが、新しい木樋はその上の同じ場所に設置されています。このことから、木樋は水害のたびに造り直していたと考えられます。

  

 木樋の出土状況

第3地点は現在、上下二面ある文化層のうち第二面の調査が終了しました。第二面で確認された遺構は第一面と同様に陶磁器や木製品などの日常道具を捨てた土壙が主体で、それ以外には埋桶などが見つかっています。

二面全景

 

土壙の中からは、大量の陶磁器や木材の破片が出土しました。

 

焼土とともに、瓦の破片が詰まった土壙も確認されています。