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樋ノ口遺跡 (加須市)

読み方
ひのくちいせき
場所
加須市大越樋ノ口603-1他
調査期間
平成27年4月9日~平成28年3月31日
主な時代
奈良・平安時代 中世 近世

【平成28年3月更新しました】

樋ノ口遺跡は、東武伊勢崎線加須駅から北に約8km地点の、利根川右岸に形成された自然堤防上に立地しています。利根川の堤防強化工事に伴い行っている調査では、最上流部に位置しています。
東に隣接する長竹遺跡では、上層で中世から近世にかけての溝跡や井戸跡、中層で奈良・平安時代の集落跡、下層で縄文時代後・晩期の環状盛土遺構などが発見されており、樋ノ口遺跡でも同じ時代の遺構が存在すると考えられます。
現在は、上層の中世から近世の遺構面検出のための表土掘削と同時に、掘削が終了したところから順次、遺構確認を進めています。

H27樋ノ口1

 

【以下、平成27年7月更新】-----------------------------------
中世・近世の遺構調査を行っています。これまでに、4基の火葬跡のほか、土壙、溝跡、井戸跡などが発見されました。

H27-7hinokuti1

火葬跡からは、骨片や焼土が検出されました。陶磁器などの出土遺物から、近世末期のものと推測されます。

H27-7hinokuti2

土壙の一つから漆椀が出土しました。内側に塗られた赤漆が、はっきりと見てとれます。

 

【以下、平成27年10月更新】-----------------------------------
中世・近世の遺構調査が終了し、奈良・平安時代の遺構面までの掘削作業を行っています。

H27-10hinokuti1

中世・近世遺構の全体写真です。遺構は土壙104基、溝跡38条、火葬跡10基、井戸跡5基などが検出されました。

H27-10hinokuti2

調査区南端で検出された近世の土壙からは、一体分の動物の骨が出土しました。奥には歯と顎(あご)の骨が、手前には手足のような太い骨が数本のびています。全体の特徴から、馬の骨と考えられます。

 

【以下、平成27年12月更新】-----------------------------------
現在は奈良・平安時代の遺構確認を行っています。竪穴住居跡のほか、畝跡(うねあと)・井戸跡などが検出されました。

H27-12hinokuti1

調査区の西側、約150㎡の範囲から36条の溝跡が集中して検出されました。奈良・平安時代に耕作された畑の畝跡と考えられます。畝の方向や間隔などから、少なくとも2回は畑が作り直されているようです。

H27-12hinokuti2

遺構の確認作業中に、平安時代の土器片などが出土しました。

 

【以下、平成28年1月更新】-----------------------------------
引き続き、奈良・平安時代の遺構を調査しています。これまでに、竪穴住居跡8軒、土壙32基、井戸跡11基、溝跡9条、畝跡群2か所が確認されました。調査区北側に畝跡、南側に竪穴住居跡や土壙などが分布する傾向が見られ、調査区内の南北で土地が使い分けられていることがわかります。

H28-1hinokuti1

四角い形の土壙から、割れた土器が数点見つかりました。土器の形態や特徴から作られた年代が推定できます。この土壙は平安時代と考えられます。

H28-1hinokuti2

調査区南側からは、3つの土壙が近い範囲で確認されました。長辺が2.2~2.4mほどあります。こうした土壙は、墓穴やゴミ穴などが考えられます。出土した土器から、平安時代と考えられます。

 

【以下、平成28年3月更新】-----------------------------------
3月で奈良・平安時代の発掘調査が終了しました。平安時代の竪穴住居跡10軒、土壙41基、井戸跡11基、溝跡9基、畝跡2箇所を調査しました。

H28-3hinokuti1

調査区南側(写真手前側)に遺構が集中しています。この場所が生活の中心であったと考えられます。

H28-3hinokuti2

調査区最南端で検出された竪穴住居跡です。長辺が約5m、短辺約4mあり、樋ノ口遺跡の中でも大きな竪穴住居跡でした。出土した土器の特徴から、平安時代の竪穴住居跡と考えられます。