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神ノ木2遺跡 (久喜市)

読み方
かみのきにいせき
場所
菖蒲町大字柴山枝郷字神ノ木1463-1他(問い合わせ:0480-85-7107)
調査期間
平成17年10月3日~平成18年3月31日
主な時代
縄文時代・古墳時代

神ノ木2遺跡は、元荒川と星川に挟まれた南北に細長い台地上に位置しています。 標高は11m前後ですが、東側に広がる低地との境が明瞭ではありません。発掘調査は、平成17年10月からはじまり、 現在までに縄文時代中期末の住居跡や土壙(どこう)、古墳跡など数多くの遺構が見つかっています。
遺跡は、県道大宮・菖蒲線を挟んで東側のA区と西側のB区に分かれます。
A区からは、縄文時代中期末の住居跡11軒、中世と考えられる溝跡3条が見つかっています。
縄文時代の住居の中には、柄鏡形(えかがみがた)とよばれる特徴的な形をしたものがあります。 炉や入り口と考えられる場所には土器が埋められていました。A区は住居の配置から見て、ムラの東端にあたるものと思われます。
中世と考えられる溝からは、愛知県で焼かれた陶器(常滑産)が見つかっていますが、溝の性格ははっきりしません。

神ノ木2遺跡:第7号住

神ノ木2遺跡:第7号住の埋甕

上の写真は、円形の浅い掘り込みと、突出した張り出し部からなる第7号住居跡です。形が柄(手)鏡に似ていることから柄鏡形住居と呼ばれています。
この住居の入り口部には、大型の深鉢形土器が埋められていました。土器は下半部がなかったことから、意図的に打ち欠いた後で埋められたものと思われます。

神ノ木2遺跡:第4号住 第4A号住居跡

神ノ木2遺跡:第4号住の炉跡 炉跡

神ノ木2遺跡:第4B号住の埋甕 第4B号住の埋甕

この住居の炉は、写真のように土器を埋めて使われていました。調査の結果、2軒が重なっていたことがわかりました。 新しく作られた4B号住居からは、把手(とって)のついた土器が見つかりました。
B区からも縄文時代中期末の住居跡が数多く見つかっています。分布図をみると密集した状態がわかり、 このあたりが当時のムラの中心だったと考えられます。ここでも住居の多くは柄鏡形であったようです。 住居の炉には、土器が敷き詰められたものも見つかりました。住居以外にも、食料の貯蔵施設と考えられる深い穴や、墓と考えられる遺構も見つかっています。
B区では古墳時代後期の4基の古墳跡が見つかっており、このうち1基は前方後円墳(ぜんぽうこうえんふん)と考えられます。 埴輪は見つかっていませんが、第1号墳からは、土師器(はじき)の坏(つき)や甕、滑石製の紡錘車(ぼうすいしゃ)が見つかりました。

神ノ木2遺跡:第1号古墳跡

写真は神ノ木2遺跡B区の西端部で発見された古墳跡です。幅約2m、深さ1m前後の溝が円形にめぐっています。 溝の底面で発見された土師器から、六世紀初頭と考えられます。